2025年05月20日
劉慶紅教授の著書『統合戦略論:「倫理人」モデルで論じるTotal Value Chain』(千倉書房、2024年6月刊)が、第25回環境経営学会で、2024年度学会賞(学術貢献賞)を受賞しました。同学会の学術貢献賞とは、環境経営学及び隣接科学の理論について出版された研究業績(論文、著書)が学術の発展に対して顕著な貢献を為したと認められる会員に授与されます。受賞理由は「本書は、企業戦略と倫理の統合をテーマとし、市場戦略と非市場戦略を統合する戦略として「統合戦略」という新たな経営学の枠組みを提案するなかで、Total Value Chainとして包括的な視点を主張するなど、企業の社会的責任や持続可能な価値創造に関して再考を促す内容となっている」ことにあり、「経営倫理学の視点からの経営戦略論を展開していることについて、学術への貢献が認められる」とのことです。
受賞した劉教授は、「環境経営学会は、入会してまだ2年であり、学会内には知己も少ない状態ですが、そうした状況で、私が呈示した理論的な挑戦に対して、その意義を理解していただけたことが何よりも嬉しいです。」と語ります。「研究はすればするほど、自らの無知を知る孤独な営みです。経営学の理論は、経営者やビジネスマンの実践に役立つものでなければならないというのが私の信念であり、本書で展開した理論に関して、定量的な分析を行い、さらに理論の精緻性の向上を目指し、環境経営学会の活動にも貢献したいですし、研究成果をKBSの学生諸君の教育にも活かしていきたいと考えております。」劉教授は、自らの目指す理論を「不易流行の経営学」「人間尊重の経営学」としており、これまで欧米中心であった経営学の理論ですが、アジア発、慶應義塾発の経営学理論の誕生に挑戦する劉教授の研究は貴重なものといえます。