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震災復興チャリティ ケース・メソッド授業 開催報告

2011年3月11日に日本を襲った東日本大震災から、一年が経ちました。被災された方々に衷心より哀悼の意を捧げるとともに、一日も早い被災地の復興と、被災された方々の生活の再建をお祈り申し上げます。

開催報告

 震災から一年が過ぎても、被災地の生活や経済の状況は厳しく、今もなお資金、物資、人材、技術などさまざまな支援が必要とされる状況が続いています。また、日本全体に目を向けても、エネルギーやサプライチェーンにおける課題が明らかになり、産業空洞化の危機もじわじわと迫りくる一方で、近い将来起こり得る万が一の事態への備えも急がれています。

KBSではこれまでの50年の歴史の中で、こうした有事のマネジメントについて、さまざまな研究と教材開発を進めてまいりました。これらの知見を少しでも日本国内で活動するビジネスパーソンの方々と共有し、今一度被災地に想いを馳せ、東日本大震災からの復興と万が一の対策について検討する機会を設けたいという思いから、2012年3月3日(土)、4日(日)に、震災復興チャリティケース・メソッド授業を開催しました。

 年度末の週末にも関わらず、2日間で計88名の受講者にご参加いただき、受講料の代わりにお願いした義援金は、総額96万円となりました。義援金は、全額日本赤十字社へ寄附させていただきました。あらためまして、ご参加いただきました受講者の皆様に、心より御礼申し上げます。

今回はチャリティということで授業を広く一般に公開し、遠くは青森、宮城、福島、新潟などからの受講生にもご参加いただきました。受講者の皆様からは、「継続して欲しい」「また参加したい」という声を多数いただきました。被災地への想いと復興への志を風化させないためにも、継続的な開催を考えたいと思っております。

授業レポート

当日は、「有事対応」および「企業再生・復興」に関連するKBSオリジナルケースを用いた、4つのケース・メソッド授業が行われました。

『東京電力株式会社』では、福島第1原子力発電所の事故が描かれたケース教材を基に、「今、われわれは、一連の出来事について何を議論すべきなのか」という大きなテーマのもと、公益性と収益性のジレンマ、電力の産業構造とガバナンス等について、小幡績准教授による電力業界の歴史や経済理論の解説を織り込みながら、白熱した議論が交わされました。

『八甲田山雪中行軍』では、日露戦争勃発前の厳冬期に行われた雪中行軍演習において、限られた情報から周囲の状況を解釈し極限状況下で指揮官は何をどのように判断したのか、大林厚臣教授の研究成果を交えた臨場感あふれるケースリードにより、その過程を追体験しながら意思決定やリーダーシップについて考察しました。

『聖路加国際病院-地下鉄サリン事件への対応-』では、事件当日に640人もの救急患者への対応を可能とした聖路加国際病院の医師、看護婦、事務スタッフそれぞれの動きを整理しつつ、非常事態に直面する組織力とリーダーシップの在り方を、企業や政治組織に置き換えながら討論しました。高田朝子教授(法政大学、KBS出身)の息つく間もないドラマチックなケースリードで、大いに盛り上がりました。

『東北製造加工株式会社』では、2011年の3月11日の東日本大震災で工場に打撃を受けた複数の実在企業をモデルにした、架空のガラス基板加工企業のケースについて、受講者が事前の個人予習で分析してきた業界構造や対応策を、太田康広教授の解説で、財務諸表から読み取り得る細かなファクトと照らし合わせながら、共に検証しました。

震災復興チャリティ ケース・メソッド授業 開催概要

受講者 ビジネスパーソン、学生(計88名)
日 程 2012年3月3日(土)、4日(日)の2日間(計4講座)
会 場 慶應義塾大学ビジネス・スクール 日吉キャンパス協生館4F
参加料 無料
(受講料の代わりに1講座あたり義援金として1万円を申し受け、日本赤十字社を通じて、全額被災地へ寄附させていただきました。)

開講スケジュール

<3月3日(土)午前の部>


震災から立ち上がる企業再生マネジメント①(ガバナンス)

講師:小幡績
   慶應義塾大学大学院経営管理研究科准教授

「東京電力」
※本ケース教材は外部公開しておりません。

<3月3日(土)午後の部>


有事対応のリーダーシップと意思決定①(情報・意思決定)

講師:大林厚臣
   慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授

「八甲田山雪中行軍」
※本ケース教材はリンク先URLより閲覧いただけます。

<3月4日(日)午前の部>


有事対応のリーダーシップと意思決定②(組織・マネジメント)

講師:高田朝子
   法政大学大学院イノベーションマネジメント研究科教授

「聖路加国際病院」
※本ケース教材はリンク先URLより閲覧いただけます。

<3月4日(日)午後の部>


震災から立ち上がる企業再生マネジメント②(企業再建)

講師:太田康広
   慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授

「東北製造加工株式会社」
※本ケース教材はリンク先URLより閲覧いただけます。

タイムテーブル

<午前の部>

9:00~9:30 受付
9:30~10:00 開会挨拶、オリエンテーション
10:00~11:15 グループディスカッション
11:15~11:30 休憩
11:30~13:00 クラスディスカッション、ラップアップ

<午後の部>

12:30~13:00 受付
13:00~13:30 開会挨拶、オリエンテーション
13:30~14:45 グループディスカッション
14:45~15:00 休憩
15:00~16:30 クラスディスカッション、ラップアップ

お問合せ先

慶應義塾大学ビジネス・スクール
担当 小寺(コデラ)/倉田(クラタ)/町田(マチダ)
Tel:045-564-2440  Fax:045-562-3502
E-mail: seminar@kbs.keio.ac.jp