高等経営学講座は、毎年夏にハーバード・ビジネス・スクール等海外の諸大学から第一線級の講師陣を迎え、開講しております。2024年7月7日(日)~7月13日(水)〔7泊8日〕帝国ホテル大阪にて、第69回高等経営学講座を開講しました。
William R. Kerr
ハーバード・ビジネス・スクール教授
Dimitri V. D'Arbeloff - MBA Class of 1955 Professor of Business Administration; Senior Associate Dean for Faculty Development and Research
第69回高等経営学講座は、2024年7月7日(日)から7月13日(土)まで7日間の日程で開催されました。今回も、昨年と同じように、全面的に対面開催といたしました。20業種・41社のトップ層68名の方々にご参加いただき、全日程、グループ討議、クラス討議とも、大変に活発な討論をしていただきました。
今回のテーマは「企業価値創造の経営」でした。メンバーシップ型雇用を中心とする日本企業は、従業員の富を守るため、とにかく倒産確率を減らそうとし、適切なリスクを取りません。このような「日本的経営」のスタイルは、環境が安定的で「いいものを安く」作っていれば自然と売上げが立ち、利益も上がっていく時代には一定の意義がありましたが、技術革新のために変化が激しく、状況に応じて、経営資源を最適なかたちに組み替えて競争しないといけない時代にはそぐわないものとなりました。今ある経営資源を素早く組み替えて「価値(value)」を出す。ジョブ型雇用への移行、雇用の流動化、副業解禁など、現代はその移行期にあります。いかにして「企業価値」を創造するか、それをテーマに13のケースを取り上げました。総合経営、マーケティング、組織・マネジメント、情報・意思決定、経営管理、財務、生産の7つの分野7にわたって、毎日2つのケース教材を使ったディスカッションが行われました。
最後の3日間は、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)のWilliam R. Kerr教授が登壇されました。Kerr教授は、起業家論(アントレプレナーシップ)分野の世界的権威です。「アルボジェン:起業家精神の拡大」、「未来の働き方へのユニリーバの対応」の2つのケースを取り上げ、Kerr教授と受講者と皆様のあいだで活発な討論が行なわれました。最終日には「未来の働き方」というテーマで、生成AIの働き方への影響など、最先端のトピックについてレクチャーをいただくとともに、活発な質疑応答が行なわれました。
参加者同士のネットワーキング構築ならびに交流の促進のため、毎日のケース・ディスカッションに加えて、初日には名刺交換会が、6日目には終講パーティがそれぞれ行なわれました。参加者同士の活発な交流に会場が賑わっていました。
第69回高等経営学講座 主管 太田 康広