EMBA開講記念企画 慶應義塾大学ビジネス・スクール特別講座 第1回「経営者は重要なのか?」開催報告

5月27日(水)午後7:30から日吉キャンパス協生館5階のエグゼクティブセミナールームに参加者47名を迎え、齋藤卓爾准教授の講演が行われました。

まず、アメリカにおけるCEOを巡る状況変化をさまざまな角度から歴史的に捉え、経営者の果たすべき役割が増えていること、どの会社でも通用する一般的経営能力の重要性が増していることが指摘されました。そしてアメリカにおける研究で、経営者の違いが企業業績や行動に大きな影響を与えている、という結果が示されました。

その上で「日本企業の経営者は重要なのか?」について、欧米企業との比較を織り交ぜながら、株主利益極大化に留まらない日本企業のガバナンス環境の中では自由裁量範囲が狭いこと、インセンティブ構造に起因するリスク回避傾向、就任までの期間長期化・在任期間短期化によるリーダーとしての準備不足と全社的経営に携われる期間不足など、日本企業の経営者の課題が浮き彫りにされました。こうした中で日本の経営者は、新たな「競争優位」創出や大規模な事業ポートフォリオの入替をリードしていけるかが問われました。

このような状況打開に向けた一時的対処のひとつが最近日本で言われるようになった「プロ経営者」の採用ですが、永続的対処としては優秀な人材に早い段階から経営者としての成長機会を与え、昇進させていくことではないかとの見解が出されました。そのような機会を与えられなかったメンバーにとって、モチベーションが下がるリスクが想定されますが、経営環境の変化の中で日本企業がチョイスすべき大きな課題であることが指摘されました。加えて、ファミリー企業の特徴を分析しそれが米国型の経営者像に近いことが示され、ファミリー企業とプロ経営者のマッチングの良さとその背景が説明されました。

結論として、経営者が重要な時代となっていること、日本企業において経営者にどのような自由裁量やインセンティブを与え、どのように育成していくかが問われている、と指摘されました。

参加者の声

  • 「経営者」という切り口で、日本と欧米の企画の経営に対する考え方や、インセンティブ、裁量権について、わかりやすく比較・検証されており、とても勉強になりました。
    (業種:鉄道業/役職:課長補佐)
  • 日本の経営者のスタンスについて、その成り方によって区別して分析することにとても関心を持ちました。「経営者」という切り口から日本の経営システムを見る良い契機になりました。
    (業種:学校教育)
  • 経済のグローバル化、企業のボーダレス化が進む中、ファームスペシフィック的経営者から、一般的経営能力が求められる時代になったと考えます。貴重なお時間ありがとうございました。
    (業種:機械業/役職:課長)
  • 6月より新任取締役となる私にとって、非常に参考となる考察をお話頂いたので、本日頂いたご意見を再度考えて、今度の会社経営に生かせるようにしたいと考えます。
    (業種:銀行業/役職:支店長)

開催概要

名称 2015年度KBS特別講座 ―EMBA開講記念企画― 第1回「経営者は重要なのか?」(齋藤 卓爾准教授)
日時 2015年5月27日(水)19:30~21:30(19:00開場)
会場 慶應義塾大学 日吉キャンパス 協生館5階エグゼクティブセミナールーム
会場アクセス
参加費 無料
定員 50名(抽選)

担当講師

齋藤 卓爾
慶應義塾大学大学院経営管理研究科 准教授

2000年一橋大学経済学部卒業、2001年同大学大学院経済学研究科修士課程修了、2004年博士課程単位取得退学。2006年博士(経済学)(一橋大学)取得。2004年~2007年日本学術振興会特別研究員(PD)、2007年京都産業大学経済学部講師。2009年准教授を経て、2012年より慶應義塾大学大学院経営管理研究科准教授。

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