第57回高等経営学講座 開催報告

2012年7月26日(木)~8月3日(金)(8泊9日)帝国ホテル大阪にて第57回高等経営学講座を開講しました。1956年に慶應義塾大学がハーバード大学ビジネス・スクールと提携して開設したトップ・マネジメントのための「高等経営学講座」を、毎夏、ハーバード大学ビジネス・スクール等海外の諸大学から第一線級の講師陣を迎え開講してきました。今回の第57回講座までにその受講者は3,700名を越えています。

招聘教員

Ramon Casadesus- Masanell
ハーバード大学ビジネススクール 教授

清家 篤(せいけ あつし)
慶應義塾塾長

 孫 泰蔵
MOVIDA JAPAN株式会社 代表取締役社長

芝 陽一郎
株式会社i3DESIGN 代表取締役 KeNako株式会社 代表取締役

KBS講師陣

「新しい時代へ・・・次の社会 、そして経営」

「われわれは激動の時代に生きています。こんな時代にこそ企業や公的組織のトップ・マネジメントには、大局観を持って次の社会への変化を見極め、戦略を組み立て組織し、指揮していくことが期待されています。第57回高等経営学講座では、異なる業種業界のトップ層の89名の方々に、"新しい時代へ・・・次の社会、そして経営"をテーマとして企業のケースをベースに熱く議論していただきます。」― セミナーの冒頭、主管の山根節教授より今年度セミナーのテーマとその内容について説明がありました。

開講式につづく特別講演では、慶應義塾清家篤塾長より、奴雁・実学・公智を通じての学問の大切さ、真理追究の重要性、更には目先の事実にとらわれない姿勢について話がありました。2日目からは毎日2つのケース ― ウィーヴァジャパン、コマースバンク、日本クリニクラウン協会、JAL、ユニリーバ、イケア ― のディスカッションを行いました。

5日目は講演日です。まず、株式会社i3DESIGNの芝陽一郎氏より、アフリカビジネスの最新事情についてご講演いただきました。芝氏の海外渡航国は36カ国120都市を越えるそうですが、足を運んで収集された情報にも基づいた講演はとても分かりやすく、新天地アフリカに目を開く内容でした。続くMOVIDA JAPAN株式会社の孫泰蔵氏の講演では、お兄様のソフトバンク孫正義氏の発想法をご披露され、孫家流発想法をいかに仕事に応用するかについて示唆に富んだお話をいただきました。

6日目にはケースのディスカッションに戻り、エーザイ、社会保障制度、フマキラー、Tata Nano、チャレンジャー打ち上げ、Circus Industry の6ケースについてディスカッションを行いました。

 7日目から教鞭を取ったRamon Casadesus-Masanell教授は、ハーバードビジネススクールで経営戦略、ビジネスモデル競争等のクラスを担当されています。経営戦略論、経営経済学、産業組織論を専門にされており、異なったビジネスモデルの持つ組織間の戦略的な相互関係について目下研究中だそうです。セミナーを締めくくる最終日の講演では、「ビジネスモデルによる競争」をテーマに熱く語られました。「ビジネスモデルの革新こそが重要。それはCEOの最優先事項である」「上位50%の好業績企業はビジネスモデルを2倍重要視している」等の内容を、多くの事例に基づいて説明され喝采を博しました。受講生のアンケートでは、「エネルギッシュ」「伝統的ビジネスで勝つ手法を知ることができた」「自社にない考え方を学べた」「実践的」「分かり易い説明」「活発な意見交換ができた」「講義への引き込み方が素晴らしい」等、絶賛でした。

受講者の声

タタ・ナノ-人々のための自動車

  •  戦略策定のフレームワークがわかりやすく認識できた。(鉄鋼/48歳)
  • 経営としての投資判断のリスクマネジメントのヒントとなった。(電気機器/54歳)

マクロ経済と社会保障制度

  • 日本国の将来について、今一度考えさせられた。(電気機器/52歳)
  • あいまいな認識しかなかった社会保障制度に関し、その本質を知ることができた。(電気機器/48歳)

フマキラー・インドネシア

  •  発展途上国に進出した日本企業の生々しい活動について考えられた。(機械/56歳)
  • BOP市場における後発として逆転する戦略を理解した。(医薬品/51歳)

サーカス産業の発展(A)

  • 斜陽産業あるいは成熟産業での事業展開のヒントを学べた為。(石油・石炭製品/48歳)
  • 戦略策定には引き算もありうるということが印象深い。(鉄鋼/48歳)

インドにおけるユニリーバ:ヒンダスタン・リーバのプロジェクトシャクティ -日用消費財の農村部への市場展開

  •  今一番注目されているBOPの概念と実論がわかった。(電気ガス業/51歳)
  • 新興国市場の攻め方や考え方が再整理出来たと思う。(電気機器/52歳)
  • ケースを通じて、今後の多様性を前提とした戦略の必要性を理解(その他/50歳)

日本クリニクラウン協会‐「こども時間」を届ける

  • 関係性の構築の鍵、相手の心(発見の資産化)に訴えるマーケティング等、従来のマーケティング(4P)にはない興味深い内容だった。(医薬品/51歳)

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